久保田万太郎の詩だったかと思いますが「寒の明け ない寒さの中、霜囲いと言われる葉にかくれて一輪咲 いている様が……」おぼろな記憶の中にあります。 昔武家では、椿は首が落ちる、と祝事の席などには以 ての外と忌み嫌われていたようですが、絵を描く私共 には春陽に照らされた葉の輝き、花の紅の鮮やかさ、 花芯の黄の細かい粒であっても存在感のある雄しべの 可愛らしさ、全てが魅力的で大好きです。 この花が葉隠れに咲き霜から護られている様が毎年や ってくる早春の楽しみな風情です。 一度描いてみようと思っていたのです。 年末に片付けをしていて、物置の中より見つかった ひょうたんの手作り花器。このまま置いていればやが て壊れてゴミになってしまうことでしょう。 これに椿を活け「あづまや(椿)」として描いて残そ うと悪戦苦闘しました。 春を待ち心で過ごす頃室内に飾りましょうか、自分の 慰めに..... 2021/05