久保田万太郎の詩だったかと思いますが「寒の明けない寒さの中、霜
囲いと言われる葉にかくれて一輪咲いている様が……」おぼろな記憶
の中にあります。
昔武家では、椿は首が落ちる、と祝事の席などには以ての外と忌み
嫌われていたようですが、絵を描く私共には春陽に照らされた葉の輝
き、花の紅の鮮やかさ、花芯の黄の細かい粒であっても存在感のある
雄しべの可愛らしさ、全てが魅力的で大好きです。
この花が葉隠れに咲き霜から護られている様が毎年やってくる早春の
楽しみな風情です。
一度描いてみようと思っていたのです。
年末に片付けをしていて、物置の中より見つかったひょうたんの手作
り花器。このまま置いていればやがて壊れてゴミになってしまうこと
でしょう。
これに椿を活け「あづまや(椿)」として描いて残そうと悪戦苦闘し
ました。
春を待ち心で過ごす頃室内に飾りましょうか、自分の慰めに...
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